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最新事例研究


プレマネジャーを対象とした「ビジネスブレイクスルー研修」を実施 山之内製薬

世界規模で新薬開発競争が激しさを増す製薬業界。そのなかで、山之内製薬では「はやい=HAYAI」をキーワードに掲げ、新薬の開発・生産・販売のあらゆる局面においてスピードを重視した取り組みを行っている。人材育成においては、異部門交流を通じて経営課題解決を図る「ビジネスブレイクスルー研修」を実施するなど、経営戦略に貢献するリーダー層の育成に努めている。今回はビジネスブレイクスルー研修の内容について、同社人事統括部人材開発部の阪本秀造氏に伺った。


山之内製薬
人事統括部人材開発部 課長
阪本 秀造氏

異業種交流で視野を広げる

新製品創造を通して企業価値を高めること――これが山之内製薬のビジョンである。その原動力となる社員個々の可能性を大きく開花させることが、同社の教育研修の理念であり、その理念に基づき、各階層に応じた教育・研修カリキュラムを実施している。

「ビジネスブレイクスルー研修」は階層別研修のひとつで、30歳後半中心で、これからの各部門のリーダーと期待される人たちを対象としている。リーダーとして必要なチームビルディング、コーチング、アカウンタビリティーなどのスキルを学びながら、実際に参加者でチームを組み、6カ月間のグループワークを通じて会社施策の提案をまとめていくというものだ。研修は2002年にスタートし、半年ごとに年2回、継続して実施されている。

ビジネスブレイクスルー研修を始めた経緯について、阪本氏は次のように語る。

「もともとは研究開発部門のリーダー育成に関して、何かいい研修プログラムがないかと検討しておりました。営業部門では従来からリーダー研修が行われていたため、研究開発部門でも同じように部門内で研修を行おうと考えました。しかし、研究開発部門でも同じように部門の人たちで研修を行おうと考えました。しかし、研究開発部門だけで実施すると、視野が狭まる可能性があります。そこで、異部門との交流を深めた方がいいと判断し、研究開発部門と、営業や企画管理などその他の部門が半数ずつ参加する形で、部門にとらわれない広い視野で、対人影響力などのリーダーに求められるスキルを身につけてもらおうと考えました」

ビジネスブレイクスルー研修は、1回につき各部門から推薦された30名の参加者で行われる。参加者は6名ずつ5チームに分かれ、それぞれのチームが「新製品創造を通じた企業価値経営を実現するために、われわれは何をすればいいのか」というテーマに対して、半年をかけて課題と提案内容を検討し、最後にチーム発表会でプレゼンテーションを行う。また、この発表会で研修が終了すると同時に次回の研修がスタートする。新たな研修参加者も発表会に出席し、自分たちの半年後のゴールをイメージする場にもなっている。

「会社のあるべき姿と現状とのギャップにはさまざまな側面がありますが、そのうちのいくつかの課題をピックアップして各チームで検討していきます。課題は人事制度や会議・情報共有のあり方などある程度想定される内容が出てきます。課題は組織戦略から人事制度、会議・情報共有のあり方などあり多岐にわたる内容が出てきます。そうした複数の課題を最終的に各チームで1つに絞り、まさにブレイクスルーできるような提案をチームでまとめ、関連する部門長の前で発表するのがゴールです。最後に発表する段階では会社の現状を踏まえ、かなりの制約条件が出てきますが、最初の段階では制約をはずし、課題について自由に考えてもらうようにしています」

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講義と実地の相乗効果を狙う

このチームごとの研修は2カ月に1度全体で集合するほかは、各チームが自由に進めていく形となる。日常業務で忙しい各参加者は、e-メールやグループウェアを活用しながら検討を深めていく。

研修期間中には、こうしたチーム活動とは別に、全体集合時にチームビルディング、コーチング、アカウンタビリティーなど、リーダーに必要なスキルを学ぶための研修も随時行われる。「当初は実地と研修がリンクせず、それぞれをいかに関連付けるかが課題でした」と阪本氏。回を重ねる中で研修の内容や実施のタイミングが固まってきたという。

例えば、チームビルディングの講義は研修の最初の時点ではなく、研修期間が始まって2度目の集合時に行われる。この間の1カ月は、テーマ以外にチーム運営の方法など何も与えられない中で、参加者はいわばフリーハンドでチームでの検討を進めていく。チームは最初の顔合わせをしただけで、初対面のメンバーが多く、部門もさまざまに異なる。忙しい中でできるのは、せいぜい1回のミーティングとe-メールのやり取り程度だ。このような状況の中で、慣れない参加者はフラストレーションが溜まり、検討もなかなか進まないケースが多い。こうした経験をした上でチームビルディングを学ぶと、苦労した経験が生き、最初に学んでしまうよりも参加者の理解度が高まるという。

次のタイミングで行われるのがコーチングの研修だ。これはチーム活動とは直接リンクしないが、受講後の1カ月間で、それぞれの職場で学んだスキルを活用し、その成果を持ち寄って振り返りを行っている。

このように、講義・実地・フィードバックを組み合わせることで、限られた時間の中でも着実にスキルを定着できるように工夫されているところがこの研修の特徴となっている。

山之内製薬のビジネスブレイクスルー研修

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プレゼン力を高めるための説明能力

そして、チーム発表に近い時期に行われるのがアカウンタビリティーの研修である。

「これからのリーダーには、リーダーシップ、マネジメント力が必要なのは言うまでもありませんが、他者に対してきちんと説明し、理解させる能力も必要です。そこで、4回目の研修から、チーム発表に関連させてアカウンタビリティーの研修を採用しました」

アカウンタビリティーの研修を受け持つのはパンネーションズ・コンサルティング・グループだが、実は、当初阪本氏はチームでのミーティングとリンクさせて、効率的なミーティングのやり方についての研修を念頭においていた。しかし、話を進めていく中で、ミーティング・スキルの前提としてアカウンタビリティーのスキルの必要性を理解し、プレゼンテーションとリンクさせる形でアカウンタビリティーの研修を行えば有意義だと考えた。

阪本氏はかねてから、研修のチーム発表を聞いていて、参加者たちが熱心に研究しているのはわかるが、言いたいことがなかなか伝わらないことを課題に感じていたという。

「関連する部門長に忙しい中時間を割いて聞いてもらったにもかかわらず、何が言いたいのかわからないようなプレゼンでは、いくら研修とはいえ、部門長も出席した甲斐がないというものです」

チーム発表では、20分という限られた時間の中で提案を相手に理解してもらわなければならない。そのためには論理的思考が必要となるが、さまざまな思考法がある中で、パンネーションズの研修はプレゼン力の向上に適していると阪本氏はいう。この特徴は、「論理的であること」を明確に定義し、アウトライン化やビジュアル化といった技術を基に論理性を具体的に理解できる点にある。

「体験セミナーを受けてみて、アウトライン技法という考え方が非常にシンプルでわかりやすく、プレゼン技術を身につける上でちょうどいいと感じました」

アカウンタビリティーの研修は、各チームが課題を複数から1つに絞り込んだタイミングで行われる。その後、参加者は研修内容を踏まえてプレゼン資料の作成など準備を進め、発表会に先立って行われるプレ発表会で発表し、そこで内容について講師のアドバイスを受け、修正して本発表会に臨む。

アカウンタビリティーの研修を初めて導入した第4回研修の発表会では、各チームのプレゼン内容がわかりやすくなり、出席者とのディスカッションも活発だったという。

「おそらく論旨の組み立てがわかりやすくなり、ポイントがはっきりと絞れたので、良い提案、悪い提案にかかわらず、適切な指摘ができるようになりました。これまでは質問のところで静かになることが多かったのですが、どのチームに対しても質問が出るようになり、出席者からも『提案がわかりやすかった』『議論の土台ができた』などの感想が多く上がりました」

講義・実地体験・振り返りでスキルを定着

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グループワークが日常業務の刺激に

ビジネスブレイクスルー研修は、第4回の成果を踏まえ、続く第5回もほぼ同じ内容で実施されている。研修に対する参加者の意識について阪本氏は、「最初は『忙しい』という声がよく聞こえてきますが、グループワークが始まると普段の業務とは違った面白さを感じ、忙しさがさほど苦にならなくなるようです。この研修によって売上が伸びたといったようなはっきりとした成果はわかりませんが、参加した社員の行動変容は確実に表れてきていると思います」と話す。日常業務では得られない体験が、普段の業務にいい意味での刺激を与えているようだ。

なお本研修、この他にも、営業関係の参加者が研究所を訪問したり、研究関係の参加者がMR(医薬情報担当者)に同行するといった異部門体験を実施している。

--------------------------------------------------------------------------「人材教育」2004年8月号記事広告より

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