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最新事例研究


グローバルビジネスに対応できる人材育成をめざした英語研修を実施

昭和シェル石油グループで石油精製事業を担う東亜石油(本社:川崎市、従業員475名〔04年3月末日現在〕)では、グローバルで活躍できる人材育成をめざし、パンネーションズの英語研修を導入している。単なる英会話教育にとどまらず、コミュニケーション力・論理思考力を習得させることによって、企業風土の変革をも視野に入れた取り組みを展開している。


山本 裕氏
東亜石油
取締役 人事総務・新規事業担当
兼 人事総務グループマネージャー
兼 新規事業グループマネージャー

宮薗 良則氏
東亜石油
人事総務グループ
人事チームリーダー

ダイバーシティの企業風土をめざす

石油精製事業を手がける東亜石油の従業員は、シェルグループのスタッフをはじめ外国人とコミュニケーションする機会が多い。海外赴任のケースはもちろんのこと、国内勤務でも海外からの来訪者との折衝や、海外との電話やe-メールのやりとりが増えつつある。そのため、語学研修は従来から実施していたが、思うように効果は上がらなかったという。人事総務担当取締役の山本裕氏は、次のように語る。

「これまでも語学研修は行ってきましたが、あくまで英会話の勉強であり、目的が明確でなかったため、なかなか長続きしませんでした。そこで、やるからには目的を明確に設定して取り組む必要があると考え、今回は、英語を通じてネゴシエーションできるレベルに到達すること、そして英語を通じてダイバーシティの考え方を許容できる組織になること、この2つをターゲットに新たに語学研修を行おうと考えました」

ダイバーシティとは、人材の多様な価値観を活かすことによって、企業の成長と個人の自己実現を達成させる考え方である。グローバルで活躍する人材は、当然さまざまな異なるバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションをとりながらビジネスを遂行していくことが必須の要件となる。しかし、現実には日本語でもコミュニケーションが不足している実態があると指摘するのは、人事総務グループ人事チームリーダーの宮薗良則氏

「コミュニケーションで必要なのは、自分の考えを相手に正しく伝え、相手の言いたいことを正しく理解できることです。日本語には曖昧さを良しとするところがありますが、それでは価値観の異なる人と正しく意思疎通を図ることはできません。その点、英語はロジカルですから、英語の習得は、論理的思考のトレーニングにもなるはずです」

「当社も人事制度に目標管理制度をはじめとした欧米的なシステムを導入していますが、こうした制度をうまく運用していくためには、われわれのマインドも欧米型に変えていく必要があるのです」(山本氏)

こうした観点から、複数の研修企業の担当者と打ち合わせを行った結果、同社のニーズを最も的確に捉えたカリキュラムを提案したのがパンネーションズ コンサルティング グループだった。

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変革の推進者になる人財育成

ここで、パンネーションズの語学研修における独自メソッドについて触れておこう。一般的に、英語をマスターするには大変な時間と労力がかかると考えられている。その原因は、世間一般に浸透している暗記を中心とした学習方法にある。ネイティブが話す英語をどんどん覚えながら、英会話のルールを自分で作り上げていくような従来の方法は、ネイティブの国で教える方法であり、日本語で育ってきた日本人の学び方にはそぐわない。例えるなら、数学の公式を知らずにとにかく問題を解くやり方と同じだといえる。公式を知らなくても時間をかければ自分で解き方のルールを発見できるかもしれないが、それでは時間と労力がかかってしまう。英語も同様で、日本語を英語に変換するルールがインプットされていれば、より短時間で話せるようになるはずである。

また、英語はマスターすること自体が目的ではなく、ビジネスにおけるコミュニケーションの手段であるということも認識すべきだろう。そう考えれば、ネイティブのような完璧な英語を目指す必要はない。むしろ、誰とでもコミュニケーションできる平易で明快な英語を身につけることが大切なはずだ。

さらに、英語さえできれば、国際ビジネスで通用することにはならない。ビジネスの現場で通用するコミュニケーション力や論理的思考力も養う必要がある。それは、日本の閉ざされた環境でしか通用しない意識や行動様式を根本的に転換することでもある。

したがって、忙しいビジネスパーソンにとって、英語を学習する上で最も大切なことは、覚えた英語を実際の現場で機能させること、そして英語をマスターするために要する労力と、それ以外の重要なことに費やす労力とのバランスをいかに上手にとるかということになる。

パンネーションズが提唱する学習方法(パンネーションズ・メソッド)は、これらの要件を満たすために開発されたものである。そのスタート地点は、まずゴールを明快にすることにある。最初のレベルは、暗記に頼るのではなく、自分の頭で文を組み立てながら日常会話ができるようになること。そして次のレベルは、仕事で実際に使う少し複雑なビジネス英語も話せるようになることだ。ただし、受講者に特殊なことを要求するものではない。中学校で習った程度の単語力と文法の知識だけで対応可能な学習方法であり、簡単なルールを身につければ誰でもマスターできることをめざしている。

学習方法は、英語の構造と言葉の使い方を知ってから、それを表現に結びつけていく。話し方のルールをシステマティックに学ぶことによって、一度覚えたことを忘れにくくする学習方法であり、パターン化に基づくルールさえ覚えれば、さまざまな場面で応用が利くようになる。ポイントは、日本語の情報を英語の配列に置き換えること。日本語→英語の転換方法が体系化されており、このルールを覚え、トレーニングすることによって、自分で英文を作りながら話せるようになる。

東亜石油の英語研修体系

パンネーションズの提案に基づき、東亜石油では10月から半年間の英語研修を実施している。まず、受講希望者を対象にTOEICテストを実施して受講生を選別。今回は80人がテストを受け、レベルに合致した44人が受講することとなった。その上で受講生全員に「ACE個別インタビューテスト」を行い、レベル別に受講生のクラス分けを行う。ACE個別インタビューテストとは、英語での総合コミュニケーション能力を言語知識力、言語発話力、論理展開力、コミュニケーション力の4つの分野で測定するもので、1人30分ずつ、外国人講師と1対1のインタビューテストを行う。最初の15分をビデオ撮影し、残り15分はそのビデオを見ながら学習アドバイス等をフィードバックする。

「TOEICではリスニングとリーディングしか測定できませんが、インタビューテストではスピーキングも含めた総合力が診断できます」(宮薗氏)

メイン研修が始まる前には、2時間の「英語モチベーションアップセミナー」を実施している。このセミナーは会社における英語学習の必要性の認識を高めてもらい、コツをつかんだ学習法の提示で苦手意識を克服してもらうことが目的だ。セミナーは受講者だけでなく、非受講者や上司など希望者すべてを対象とした。

「会社に強制的にやらされているという意識ではなく、英語をビジネスにおいて有効な武器ととらえて自発的に取り組んでくれれば、効果は高まると考え、研修の前に意識付けのためのセミナーを行いました」(宮薗氏)

メイン研修は3つのレベルごとにクラス分けされる。今回は「BASIC」2クラス、「ADVANCE」2クラス、「Meeting & Negotiating」1クラスの5クラスで、それぞれ毎週1回16時〜18時の2時間の研修を24回行う。BASICクラスはTOEIC450点以下の受講者が対象。英語に対する苦手意識の克服をテーマに、英語で文章を話すコツ、コミュニケーションを円滑に運ぶコツ、E-mailライティング、電話対応などを学ぶ。その上のADVANCEクラスはTOEIC450〜650点の受講者が対象。ビジネスにふさわしい英語の話し方や、コミュニケーションを円滑に運ぶコツ、E-mailライティング等を学ぶ。上級の「Meeting & Negotiating」クラスでは、英語におけるフォーマリティ、意思の強弱の伝達方法、Meeting実践トレーニングを学ぶ。

半年間の研修を終了すると、再度「ACE個別インタビューテスト」とTOEICテストを行い、個々の上達度を含めた研修結果を検証する。測定結果により、成績の向上した受講生は引き続き上のクラスを受講することができる。成績が伸びなかった場合は継続受講はできない。

「半年間の研修で英語がマスターできるとは考えていません。この研修が本人の英語力に対する気づきになり、その後自助努力で学習するようになってくれることを期待しています」(宮薗氏)

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汎用能力の開発をめざす「選択型」

今回の英語研修の実施にあたっては、受講生のモチベーションを高めるため、人事制度との関連づけも図っている。目標管理制度の1項目である「スキルアップ」の中にTOEICの目標点数を記入し、そのレベルに到達すれば考課へも反映される。また、受講生にとって1つのターゲットとなるように、海外派遣者に必要なTOEICの基準点を公開するようにした。研修時間を就業時間内に設定したのも、英語が業務上必要なスキルであることを社員に知らしめる効果を果たしている。

「英語研修を目標管理制度と結びつけたのは、受講生の上司である管理職に、研修の内容に興味をもってもらうためでもあります。研修は人事部と受講生だけがやっているものではありません。管理職も部下の成長にしっかりコミットしてもらい、組織レベルで育成をしていくことが重要です。研修終了後は、受講者にマネジメントの前で英語でスピーチさせる場を与えることも検討しており、会社全体の英語力・コミュニケーション力向上施策の一環として、この研修を定着させていきたいと考えています」(山本氏)

「日本的なあいまいな文化はこれからのグローバルビジネスでは通用しません。英語研修を通じてコミュニケーション力や論理思考力が身につけば、受講した社員たちが職場に刺激を与えてくれる。そんな波及効果も期待しています」(宮薗氏)

新たにスタートした英語研修が、組織風土変革のブレイクスルーとなることが大いに期待される。

--------------------------------------------------------------------------「人材教育」2005年2月号記事広告より

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